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神戸大学医学部眼科学教室 医学生・研修医の方

医学生・初期研修医の皆様へ

こんにちは。中村です。
今、この案内を読んでいる医学生・初期研修医の方は、眼科に興味をもってくれていることと思います。でも、興味はあるけれど医師の進路として眼科を選んでいいものか、多いに迷っていませんか(え?眼科に決めている?それなら、是非神戸大学へ)。

迷うのは当然です。僕も学生のとき、内科に進むか眼科医になるか、悩みに悩みました。一般人の父に眼科医になるかもと言うと、腰を抜かしました。聴診器を持たなければ医師とは言えない。父も僕自身もそんな思いにとらわれていたのです。しかし、眼科医になって四半世紀を越えた今、断言できます。眼科は面白い!

理由その①:手術もできるし、内科的治療もできる!

たしかに、眼科では全身管理をすることはほとんどありません。聴診器は手放しました。でも、内科に行けば手術から離れるわけだし、外科に行っても専門的に扱う臓器は限られることが多いわけで、何かを手放すことに変わりはありません。総合診療医はもちろん重要ですが、皆がプライマリ・ケアをして、スペシャリストがいなくなっては困ります。

眼科は、扱う領域は狭いようでも、自ら診断し、検査し、投薬し、手術します。糖尿病はもちろん、サルコイドーシスや脳腫瘍も眼科から見つかることが少なくありません。中枢神経系である網膜を人体で唯一直接観察し、手術までできる。
今、加齢黄斑変性に対する再生医療が注目を集めています。もちろん、iPS細胞から網膜色素上皮が作製できるようになった基礎研究の進歩が重要であることは間違いありません。しかし、それだけが強調されている現在の報道はやや片手落ちです。ヒトで初めてのiPS細胞の臨床応用が可能となる前提として、網膜下に網膜色素上皮シートを移植できるという眼科手術の目覚ましい進歩があったことを忘れてはいけません。

そう。眼科医は最新鋭の診断技術と最先端の手術を駆使し、診断から治療まで自己完結できる超専門家集団なのです!

理由その②:こどもも診れるし、高齢者も診れる!

別の切り口から眼科の面白さを見てみましょう。それは、下は未熟児から上は90歳を越えるお年寄りまで、あらゆる年齢層に取り扱う疾患が広がっている、と言う点です。

神戸大学眼科の関係病院にはこども病院もあり、また大学本体はもちろん、加古川西市民病院等には新生児センターがある関係で、未熟児網膜症、先天白内障、斜視、弱視といったこどもの眼疾患を多く学べる環境にあります。また、僕の専門の一つである緑内障も先天緑内障があり、兵庫県のみならず、近畿一円から紹介を受けています。

一方で、加速する高齢化により、白内障、緑内障、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症といった視覚障害をもつ患者は増加の一途をたどっています。高齢化すると、涙道疾患や眼窩・眼瞼疾患も多くなります。神戸大学と関係病院の神戸星病院等は、眼窩・眼瞼疾患の治療にも積極的に取り組んでいます。 こどもから高齢者まで。臓器別スペシャリストならではの醍醐味を味わえます。

理由その③:勤務医は引く手あまたで、開業もできる。

眼科医は飽和しているという噂を最近よく耳にします。たしかに、公共交通機関の駅の看板には眼科の広告が目に付きます。ですが、実態は表層とは異なります。

新臨床研修システムが導入されてから全国で眼科入局者は激減し、ここ10年の間に、神戸大学の関係病院でも眼科を標榜している施設数は2/3以下になりました。少なくとも眼科勤務医は明らかに足りていません。現在、部長をしている先生もあと10年前後で定年を迎える方がほとんどです。勤務医として食いっぱぐれることはありえません。高齢患者が増えているのですからなおさらです。

では開業はどうでしょう?この10年間の入局者が減ったのですから、新規開業件数も下げ止まっていくのは明白です。跡取りがいない老舗の眼科開業医は継承してくれる人を探します。団塊の世代が定年になるのと同様に、もっとも人口の多い世代が引退すれば、継承開業する道も開かれていることが理解できるでしょう。つまり、見かけの開業医数が多いから開業できないとあきらめるのは見込み違いなのです。

理由その④:各自の価値観に応じたワークライフ・バランスを目指せる。

トランシーバー2上でも触れたように、眼科はもっとも研究が臨床に結びつき易い領域です。神戸大学眼科は、旧帝大系に引けをとらない研究業績を挙げてきました(詳しくは研究の項目をご覧下さい)。今年からは、理化学研究所と提携しiPS細胞研究のプロジェクトも立ち上げました。基礎研究に打ち込みたければ、大学院、海外留学に進むことを全面的にサポートします。そして新しい病態の解明・治療法の確立に取り組みましょう!

手術症例を多数積みたければ、症例の多い関係病院(神戸海星病院、甲南病院、三菱神戸病院、明石市民病院、加古川西市民病院、こども病院、北播磨総合病院、製鉄記念病院等)での研修が可能。大学病院では、術中トランシーバーを用いた手術指導、ドライラボ・ウエットラボの定期開催を行い、充実した手術研修環境を提供しています。また、基本知識の向上を図るべく、スタッフによるエッセンシャルレクチャー、電子カルテシステムを用いた術前カンファレンスを行い、研修医教育に力を注いでいます。

トランシーバー一方、子育てで少しペースを落としてキャリア継続を図りたい方にも、個々のケースに応じて柔軟に対応しています。実際、大学病院、甲南病院、こども病院、川崎病院、神戸医療センター、加古川西市民病院、北播磨総合病院、製鉄記念病院等で時短を含め、子育中の女性医師の先輩が常勤で活躍しています。中には一時パート勤務していたけれど、子供さんが小学校に入学して、常勤に復帰した方が多くいます。 このように、臨床や研究をバリバリしたい方はバリバリと、一時的にスラーライフを過ごしたい方にはそれなりに、キャリアパスを継続していくことが可能です。

理由その⑤:眼は美しい!

まあ、何より眼は美しいです。眼球そのものもが神秘的なだけでなく、視覚は外界からの情報の80%を処理していて、脳神経12対あるうちの半数は眼科関連の組織を支配し、脳の視覚関連領域は3割を占めます。眼科医はその繊細にして優美な視覚システムを守る番人です。君も、あなたも、その番人になり、たくさんの患者の光を取り戻してあげませんか。

……”Can you see, now?” “Yes, I can see, now”
チャールズ・スペンサー・チャップリン「街の灯」

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